出産・分娩について妊婦さんから50年以上愛されつづけている産婦人科の医師が解説

理想の出産を迎えるために、妊婦さんは数ある分娩法の中からご自分にとって最適なものを選ばれると思います。この章では、分娩方法を決めるにあたり役立つ情報や医療知識、選ぶ際のポイントをご紹介します。

分娩の種類

分娩にはさまざまな種類があります。当院で行っているソフロロジー分娩の他にも、自然分娩、立ち合い分娩、経膣分娩など、分娩法はたくさんの種類に分けられるのです。それぞれの分娩方法をご紹介していきます。

自然分娩

自然分娩とは、特別な処置を行わずに陣痛を待ち、産道を通して赤ちゃんを出産する分娩法です。痛みを和らげる麻酔や、胎児が母体から出てくる際に手助けとして使用する吸引処置などの医療行為は行いません。

出産場所は産院だけでなく、助産師や医師を呼んで自宅で出産する方もいます。現在さまざまな出産方法がある中で、現在も昔ながらの自然分娩を選択される方が多いです。

経膣分娩・自然分娩

緊急帝王切開はお産が長引くことにより、お母さまとお腹の赤ちゃんにリスクが発生すると判断された場合に緊急帝王切開を行うこと遷延分娩といいます。

ソフロロジー分娩

ソフロロジー式分娩（産前教育法）では、陣痛や出産を肯定的に受け止め、出産に必要なエネルギーとして考えます。これにより、痛みや不安のイメージが強い陣痛を、喜びとして受け止めるようになるのです。具体的には、リラックス法を学びそれを陣痛時に実践します。体をリラックスさせることで、陣痛の際の負担を軽減させます。自分の力で陣痛の不安や痛みを乗り越え、自然の形で出産をするのが、ソフロロジー式分娩です。

立ち合い分娩

立ち合い分娩とは、パートナーやご家族の方と一緒に分娩室に入り、出産を一緒に迎える分娩法です。パートナーやご家族と一緒に出産を迎えることで、不安や緊張を和らげる効果が期待できます。また、赤ちゃんが生まれる喜びを大切な人達と分かち合える分娩法でもあります。

無痛分娩

出産時に感じる痛みは、子宮が収縮することによる子宮の痛みと、赤ちゃんが産道を通る際に膣や外陰部などに感じる痛みがあります。

硬膜外鎮痛注射や点滴による鎮痛薬投与などを行い、こうした陣痛の痛みを和らげて出産する方法を無痛分娩といいます。痛みに弱い方や強い恐怖心がある方にはメリットある分娩方法といえるでしょう。ただし、赤ちゃんへの影響がないとは言い切れないため無痛分娩を推奨しない医師も少なくありません。

リスクを含めた無痛分娩の説明を医師からしっかりと受け、十分な知識を収集したうえで判断すると良いでしょう。

帝王切開

通常の分娩だと母子の身体にリスクがある場合、腹部を切開して子宮から赤ちゃんを取り出す帝王切開を行います。

帝王切開になるケースは2つあります。ひとつは、37週目前までの妊婦健診で自然分娩が難しいと判断される「予定帝王切開」。2つめは、出産時に赤ちゃんやお母さまの容体が変わり、急遽帝王切開が必要と判断される「緊急帝王切開」です。

予定帝王切開

骨盤位(逆子)、双子以上の多胴妊娠、前置骨盤などを理由に、37週目前の妊婦健診で自然分娩が難しいと判断される場合、予定帝王切開を行います。

緊急帝王切開

緊急帝王切開と判断する場合の主な理由をご紹介します。

遷延分娩(せんえんぶんべん)

常位胎盤早期剥離(いじょうたいばんそうきはくり)

赤ちゃんが母体から出る前に胎盤が剥がれると、子宮から大量に出血します。このような場合、胎児が危険な状態になるため、緊急帝王切開を行い赤ちゃんを母体から取り出します。

胎児機能不全

妊娠中毒症(母体の妊娠高血圧症候群)や臍帯(さいたい)、胎盤早期剥離（はくり）などが原因でお腹の中の赤ちゃんが低酸素状態になり、赤ちゃんの健康に異常がある、または異常を生じる可能性があると判断される場合に緊急帝王切開を行います。

陣痛誘発について

出産予定日を超えても陣痛が起こらない場合、子宮を収縮させる働きをもつ陣痛促進剤という薬を用いて、陣痛を誘発させます。ただし、効き目には個人差があり、母体へ影響する可能性もあるため、誘発剤の使用には細心の注意が必要です。リスクを考えて導入していない産婦人科も少なくありません。

自分に合った安心できる分娩方法を見つけることが重要

分娩にはさまざまな方法があり、それぞれの分娩方法ごとにメリット・デメリットがあります。どの分娩方法が良いということは確定しておらず、妊婦さん一人ひとりの体調や考え方により最適な手段は変わります。妊婦さんが最適な分娩方法を選ぶためには、母子の状態を詳しく把握し、出産に関する不安や疑問を解決できる婦人科を探すことがポイントです。当院では、生まれてくるお子さんやお母さまの健康や安全性を第一に考えております。そのため、薬や麻酔を使う際のリスクを考慮し自然分娩で赤ちゃんを出産する方法を推奨しています。心と体をリラックスさせ、陣痛の痛み緩和や出産に対する不安の軽減につなげる母親学級を開催するなど、充実した産前産後のサポートをご用意しております。赤ちゃんの健康を守りたい、前向きな気持ちで出産とその後の子育てに向き合いたいという方は、ぜひ当院へご来院ください。